海外在住日本人の住所変更登記(国内連絡先の登記も必要)

  1. 海外在住日本人の住所変更登記(国内連絡先の登記も必要)
    1. 海外在住日本人の住所変更登記で必要な書類
      1. 「登記されている住所」が日本国内の住所で、「現在の住所」が海外の場合
      2. 「登記されている住所」が海外の住所で、「現在の住所」も海外(同じ国)の場合
        1. 海外の同じ国の中で住所が2回・3回と住所を移転している場合
        2. 在留証明書の種類
          1. 現住所と「現在の住所に居住した年月」が記載されたもの
          2. その国(外国)の中で住所の経過が記載されたもの
          3. その国(外国)の中で住所の経過が記載されていない(記載できない)場合
      3. 台湾在住日本人の場合
    2. 「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記(令和6年4月1日から)
    3. 「日本国内における連絡先となる人」の有無の登記
      1. 「日本国内における連絡先となる人」の有無の登記をする必要がある人
      2. 「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記事項
      3. 登記申請の方法
        1. 「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記するとき
        2. 「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記しないとき(「国内連絡先 なし」として登記する。)
    4. まとめ:海外在住日本人の住所変更登記(国内連絡先の登記も必要)
  2. 住所氏名変更登記・抵当権抹消登記については、当司法書士事務所にご相談ください。

海外在住日本人の住所変更登記(国内連絡先の登記も必要)

執筆者:司法書士 芦川京之助(横浜リーガルハート司法書士事務所)

海外在住日本人の住所変更登記
海外在住日本人の住所変更登記

海外在住日本人の住所変更登記(不動産の所有権登記名義人住所変更登記)では、日本国内に在住日本人とは、必要書類や登記の方法が異なります。
登記の方法については、令和6年4月1日から「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記することとなりましたので、これについては、後述します。
また、海外在住の方が、所有権の名義変更登記(相続・売買などによる)で所有者(共有者)となる人は、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記もする必要があります。これについては、海外在住日本人の「日本国内における連絡先となる人」の登記の方法(令和6年4月1日施行)を参考にしてください。

海外在住日本人の住所変更登記で必要な書類

日本国内に在住日本人の場合は、基本的に必要な書類は住民票ですが、海外在住日本人の場合は、住民票がありませんので、まずは、これに代わる書類を用意します。

「登記されている住所」が日本国内の住所で、「現在の住所」が海外の場合

  1. 在留証明書(住民票に代わるもの)
     海外の日本大使館(または領事館)で取得します。
  2. 戸籍の附票
     日本の本籍地の役所で取得します。
     戸籍の附票には、海外に転出した日付と転出した外国の国名が記載されています。
  3. 上申書・サイン拇印証明書
     在留証明書に「登記されている住所」と「住所移転日」が記載されていない場合は、上申書を作成し、拇印で押印の上、サイン拇印証明書を付けます。
     サイン拇印証明書は、在留証明書と同じように、海外の日本大使館(または領事館)で取得します。
     結局、在留証明書とサイン拇印証明書を取得することになります。

「登記されている住所」が海外の住所で、「現在の住所」も海外(同じ国)の場合

  1. 在留証明書(住民票に代わるもの)
     海外の日本大使館(または領事館)で取得します。
  2. 上申書・サイン拇印証明書
     在留証明書に「登記されている住所」と「住所移転日」が記載されていない場合は、上申書を作成し、拇印で押印の上、サイン拇印証明書を付けます。
     サイン拇印証明書は、在留証明書と同じように、海外の日本大使館(または領事館)で取得します。
     結局、在留証明書とサイン拇印証明書を取得することになります。
海外の同じ国の中で住所が2回・3回と住所を移転している場合

海外の同じ国の中で住所が2回・3回と住所を移転している場合、本来、これらすべての住所が移転した旨を証明する必要がありますが、これを証明できる場合できない場合があります。

在留証明書の種類

在留証明書には、2種類あります。
(1)現住所と「現在の住所に居住した年月」が記載されたもの(通常、日付が記載されていない。
(2)その国(外国)の中で住所の経過が記載されたもの

現住所と「現在の住所に居住した年月」が記載されたもの

現住所と「現在の住所に居住した年月(通常、日付が記載されていない。)」が記載された在留証明書には、「その国(外国)の中で住所の経過」が記載されていません。
(例)次を参照してください。
在ニューヨーク日本国総領事館
証明書申請方法
在留証明書
 在留証明(形式1: 現住所の証明)申請書及び記入例
サイン拇印証明書(署名(及び拇印)証明)

その国(外国)の中で住所の経過が記載されたもの

「その国(外国)の中で住所の経過が記載された在留証明書」には、「その国(外国)の中で住所の経過」が記載されています。
この住所の経過が記載された在留証明書を取得するには、「海外の同じ国の中で住所が2回・3回と住所を移転したこと」を在外公館(日本大使館・領事館)に対し、証明する必要があります。
この経過を証明できなければ、「住所の経過が記載された在留証明書」を取得することができません。
(例)次を参照してください。
在ニューヨーク日本国総領事館
証明書申請方法
在留証明書
 在留証明(形式2: 現住所及び過去の住所、同居している家族の証明)申請書及び記入例
サイン拇印証明書(署名(及び拇印)証明)

その国(外国)の中で住所の経過が記載されていない(記載できない)場合

そこで、海外の同じ国の中で住所が2回・3回と住所を移転している場合に、これらすべての住所が移転した旨を証明できない場合は、前述しましたように、「上申書とサイン拇印証明書」を用意することになります。

台湾在住日本人の場合

日本人が台湾に在住している場合、日本の不動産について名義人の住所変更登記をするとき
【必要書類】は、次のとおりです。(中華民国居留證では登記できません。必要ありません。)

  1. 台湾にある公益財団法人日本台湾交流協会(台北事務所または高雄事務所)で、次の書類を取得します。
    ① 在留証明書 1通
    ② 署名証明(サイン拇印証明書) 1通
    印鑑証明書を取得することができますが、この場合、印鑑登録が必要となります。
  2. 日本の本籍地の役所で取得する「戸籍の附票(除票)(本籍・筆頭者の記載が必要)」1通
  3. 住所の経過を証明できませんので、次の書類を用意する必要があります。
    ① 上申書:住所の経過を証明できないことを記載します。
    ② さらに、不動産の権利証(登記識別情報通知)を提出を用意できれば、問題なく住所変更登記ができます
  4. 国内連絡先の登記も、住所変更登記と併せてする必要があります。
    ① 上申書(国内連絡先がいない場合)を法務局に提出します。

「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記(令和6年4月1日から)

令和6年4月1日から、海外在住日本人の住所変更登記(不動産の所有権登記名義人住所変更登記)をするときには、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記することとなりました。

もし、「日本国内における連絡先となる人」がいても、この人の承諾が得られない場合、あるいは、この人がいない場合は、「国内連絡先 なし」とする登記をする必要があります。どちらかを選択して登記します。
海外在住の外国人(外国籍)の方も、同様に、この登記をする必要があります。

海外在住の日本人(日本国籍)が、日本にある不動産を購入するときや、相続登記などで不動産を取得するとき、あるいは、海外に住所を移転したときは、海外在住日本人の登記する住所を海外の住所で登記することになります。
不動産を取得した人は、基本的に、市区町村役場の固定資産税や都道府県の不動産取得税(相続の場合は不要)の対象となります。
海外在住の日本人(日本国籍)が不動産を取得した時(所有している時)は、これまでも、日本国内の人を「納税管理人」とする届け出がありましたが、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記することで、税金以外についても連絡することが可能となります。

例えば、日本国内のアパートなど賃貸物件を所有している海外在住日本人の場合、税務申告を税理士に依頼している場合は、この税理士を「国内連絡先」とすることもできますし、賃貸物件を管理している管理会社を「国内連絡先」とすることもできます。もっとも、「国内連絡先」が変更した場合には、「国内連絡先」の変更登記をする必要があります。

不動産登記法 第73条の2第1項第2号
(所有権の登記の登記事項)
第七十三条の二 所有権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
二 所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの

不動産登記法 | e-Gov法令検索

不動産登記規則 第156条の5、第156条の6
(国内連絡先事項)
第百五十六条の五 法第七十三条の二第一項第二号の法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 所有権の登記名義人の国内における連絡先となる者(以下この条、次条第一項及び第百五十六条の八第一項において「国内連絡先となる者」という。)があるときは、次に掲げる事項
イ 国内連絡先となる者(一人に限る。)の氏名又は名称並びに国内の住所又は国内の営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在地及び名称
ロ 国内連絡先となる者が会社法人等番号を有する法人であるときは、当該法人の会社法人等番号
二 国内連絡先となる者がないときは、その旨
(国内連絡先事項を申請情報の内容とする登記の添付情報)
第百五十六条の六 前条各号に掲げる事項(次条第一項及び第二項、第百五十六条の九並びに第百五十七条第三項において「国内連絡先事項」という。)を申請情報の内容とする登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて提供しなければならない。
一 国内連絡先となる者があるときは、次に掲げる情報
イ 前条第一号イに掲げる事項を証する情報
ロ 国内連絡先となる者の承諾を証する当該国内連絡先となる者が作成した情報
二 国内連絡先となる者がないときは、前条第二号に掲げる事項を証する情報
2 前項第一号ロに掲げる情報を記載した書面には、令第十九条第二項に規定する印鑑に関する証明書に代えてこれに準ずる印鑑に関する証明書を添付することができる。

不動産登記規則 | e-Gov法令検索

「日本国内における連絡先となる人」の有無の登記

「日本国内における連絡先となる人」の有無の登記は、不動産の所有権名義変更(相続登記など移転登記・保存登記)のほか、所有権登記名義人住所変更登記をする場合にも適用されます。

「日本国内における連絡先となる人」の有無の登記をする必要がある人

日本国内に住所がなく海外に住所がある日本人(日本国籍)が所有権に関する登記をするときは、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記をする必要があります。
所有権を取得したときに日本国内の住所で登記し、その後、海外に住所を移転した場合にも、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記をする必要があります。
「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」がいない場合であっても、「国内連絡先 なし」とする登記をする必要があります。

  1. 不動産の所有権名義変更(売買・贈与・相続登記など移転登記・保存登記)の場合
    → 国内に住所を有しないとき所有権の登記名義人となる人
  2. 所有権登記名義人住所変更(更正)登記をする場合
    → 変更(更正)後の住所が国内にない人

「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記事項

「日本国内における連絡先となる人」を登記するとき(がいるとき)は、国内連絡先となる者(一人に限る。)の次の事項を登記します。

  1. 氏名(または名称)
  2. 国内の住所(または国内の営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在地・名称)
    国内連絡先となる者が会社法人等番号を有する法人であるときは、会社法人等番号

登記申請の方法

「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記するとき
   (例)登記申請書(一部省略)
登記の目的 〇番所有権登記名義人住所変更
原   因 〇年〇月〇日住所移転
変更後の事項 (海外の)住所 ○○○○
国内連絡先 【住所】
      【氏名】
申 請 人 (海外の住所)○○○○
      (氏名)○○
添付情報
 登記原因証明情報 承諾証明情報 (代理権限証明情報)
登録免許税 金○○円(不動産1個につき1,000円)
不動産の表示(省略)

国内連絡先となる人を登記するときの必要書類
国内連絡先となる人を登記するときは、次の書類が必要です。
① 承諾書(日本国内にいる人・承諾者の署名・実印)
② 承諾者の印鑑証明書1通

国内連絡先の承諾書
国内連絡先の承諾書
海外在住日本人:住所変更と「国内連絡先」の登記事項
海外在住日本人:住所変更と「国内連絡先」の登記事項
「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記しないとき(「国内連絡先 なし」として登記する。)
   (例)登記申請書(一部省略)
登記の目的 〇番所有権登記名義人住所変更
原   因 〇年〇月〇日住所移転
変更後の事項 (海外の)住所 ○○○○
国内連絡先 なし
申 請 人 (海外の住所)○○○○
      (氏名)○○
添付情報
 登記原因証明情報 上申書 (代理権限証明情報)
登録免許税 金○○円(不動産1個につき1,000円)
不動産の表示(省略)

国内連絡先となる人を登記しないときの必要書類
国内連絡先となる人を登記しないときは、次の書類が必要です。
① 上申書(登記名義人の署名記名・認印(拇印)(サイン拇印証明書が不要)

上申書:国内連絡先なし
上申書:国内連絡先なし
海外在住日本人:住所変更と「国内連絡先なし」の登記事項
海外在住日本人:住所変更と「国内連絡先なし」の登記事項

(「国内連絡先なし」の登記:2024年横浜地方法務局神奈川出張所で登記完了)

まとめ:海外在住日本人の住所変更登記(国内連絡先の登記も必要)

前述のように、海外在住日本人の住所変更登記では、日本国内に在住日本人とは、必要書類や登記の方法が異なります。
また、令和6年4月1日から、海外在住の日本人(日本国籍)が不動産の所有権登記名義人住所変更登記をするときは、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記することになりました。
もし、「日本国内における連絡先となる人」がいても、この人の承諾が得られない場合、あるいは、この人がいない場合は、「国内連絡先 なし」とする登記をする必要があります。どちらかを選択して登記します。

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