共有者の一人から抵当権抹消登記申請

共有者の一人から抵当権抹消登記申請ができる

事例:住宅ローンを完済した場合に、共有者の一人がすでに亡くなっている場合の抵当権抹消登記の申請はどのようにしたらよいでしょうか。

通常、抵当権抹消登記は、共有者全員が権利者となって申請します。共有者全員の印鑑が必要となります。

ところが、共有者の一人がすでに亡くなっている場合には、亡くなっている人は押印することができません。

この場合、共有者全員の印鑑が必要だということになりますと、亡くなった人は押印することができませんので、亡くなった人の名義を相続人に変更する登記手続を通常はします。
このように相続で名義変更登記ができれば問題ありませんが、相続人の間で「相続」について争いがあるなど、名義変更に時間がかかってしまうことがあります。

相続人が確定してから抵当権抹消登記を申請するとなると、今度は、義務者の金融機関などの書類、例えば、委任状に押印された代表者が申請時点で辞めていて別の代表者がその会社の代表者となっている場合、この状態のままでは登記が完了しません。
これは、委任状に記載された代表者と申請時点での代表者が相違することになるからです。

このように、抹消登記の申請を何カ月、何年も申請できない、放置した場合、義務者の金融機関などの代表者が交代していることがあるので、いざ、申請しようとすると受け付けられないということになってしまいます。
もっとも、金融機関などに委任状などの書類の差し替えを申し出れば、当然、差し替えてくれます。

そこで、いつまでも抹消登記の申請ができないと、以上の問題が生じますので、共有者の一人が亡くなっている場合は、他の共有者の印鑑のみで申請することができます。

その根拠は、民法第252条ただし書きにあります。
第252条(共有物の管理)  
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

抵当権抹消登記は、民法上の「保存行為」に該当するからです。

このばあいの登記申請書には、権利者の表示のほかに「兼申請人」と記載します。
亡くなっている人には「(亡)」と記載してもしなくても問題ありません。通常は記載しません。「(亡)」は必要的記載事項ではありません。

以上、平成29年、横浜地方法務局青葉出張所で登記完了。

もっと、不動産の所有者が単独(一人)所有の場合、この人が死亡している場合は、この人(被相続人)についての相続による名義変更登記をしてからでないと抵当権抹消登記の申請をすることができません。(抹消登記と同時にすれば問題ありません。)

これは、登記申請書または委任状に記入・押印すべき人(所有者・名義人)が死亡していることから、もはや、この人は記名・押印することができないからです。

ただし、例えば、土地が単独所有で、建物が共有の場合

所有者が死亡している場合(単独所有の場合)、 相続登記(不動産名義変更)をした後でないと、抵当権抹消登記ができません。なぜなら、所有者としての記名・押印ができないからです。記名・押印ができるのは、現に生存している人に限られます。

例えば、次の事例の場合は、どうでしょうか。
土地所有者:A単独名義(Aが死亡している場合)
建物所有者:AとBの共有名義 (Aが死亡している場合)
この場合、土地の所有名義がA一人単独名義であるので、Aについての相続登記(不動産名義変更)をしてからでないと、抵当権抹消登記をすることができません。

土地も建物も、 AとBの共有名義 (Aが死亡している) の場合は、Bが保存行為としてB一人で抵当権抹消登記ができます。

次を参考にしてください。
抵当権抹消登記の必要書類
名義人が死亡したときの抵当権抹消登記(方法)

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