名義人が死亡したときの住宅ローンの抵当権抹消登記(方法)

名義人が死亡したときの住宅ローンの抵当権抹消登記(方法)

不動産の名義人が死亡したときの住宅ローンの抵当権抹消登記の方法について

まず、住宅ローンの抵当権抹消について、
不動産を住宅ローンで購入し、その後に、不動産の名義人が亡くなった場合、団体生命信用保険に加入していた場合は、団体生命信用保険から保険金が降りますので、住宅ローンは、これで返済できます。
そして、登記されている抵当権を抹消登記することができます。

次に、不動産の名義変更登記について
不動産の名義人が亡くなったときは、相続登記(相続による名義変更登記)をします。

ということで、住宅ローンの債務者で、不動産の所有者が亡くなったときは、住宅ローンの抵当権抹消登記と相続登記(不動産の名義変更)の2つの登記をすることになります。

それでは、これら2つの登記をどういう順番で登記すればよいでしょうか。
これは、不動産の名義人が誰なのかによって、やり方が多少異なりますので、順番に説明します。

この抵当権の抹消登記は、通常、不動産の相続登記(不動産名義変更)と同時期にします。
相続登記と同時に抹消登記できるか、あるいは、相続登記をしてから抹消登記をするかは、住宅ローンを取り扱う金融機関によって異なります。金融機関によっては、先に相続登記をして名義が変わってからでないと抵当権抹消登記書類を渡してくれない金融機関もあります。

この下に、法務局の証明文が書かれたものが「登記事項証明書」です。通常、1通当たり600円。

1)不動産の名義人で亡くなった人、一人の単独所有の場合

この場合は、抵当権抹消登記をするときは、その前に、または同時に必ず、相続登記(名義変更登記)をします。
名義変更登記をしないで、抵当権抹消登記だけでは、申請する法務局(登記所)は受け付けてくれません。正確には、抵当権抹消登記を申請したとしても、登記が完了しません。登記所の人に、相続登記(名義変更登記)をしてから、抵当権の抹消登記を申請してください、と言われます。
費用については、相続登記費用でご確認ください。

2)不動産の名義人で亡くなった人と、例えば、その配偶者や子の共有名義の場合

この場合は、相続登記(名義変更登記)をしないで、抵当権抹消登記だけを申請することができます。抵当権抹消登記が完了します。

その理由は、次のとおりです。
共有者の一人が亡くなっている場合は、他の共有者の印鑑のみで申請することができるからです。

その根拠は、民法第252条ただし書きにあります。
第252条(共有物の管理)  
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

抵当権抹消登記の場合、共有者のうちの一人で登記申請する行為は、この保存行為に該当するからです。

このばあいの登記申請書には、実際に申請する人、権利者の表示のほかに「兼申請人」と記載します。
亡くなっている名義人には「(亡)」と記載します。「亡」を記載しなくても問題ありません。
これは、平成29年、横浜地方法務局青葉出張所で登記完了。

抵当権抹消登記の場合、基本的に、共有者の一人から、共有者の一人の印鑑で登記申請できるからです。これは、共有者のうちの一人が死亡している場合にも同じことが言えます。
もっとも、通常の抵当権抹消登記の場合、共有者全員で、共有者全員の印鑑で登記申請するのが普通です。

例えば、土地が単独所有で、建物が共有の場合

所有者が死亡している場合(単独所有の場合)、 相続登記(不動産名義変更)をした後でないと、抵当権抹消登記ができません。なぜなら、所有者としての記名・押印ができないからです。記名・押印ができるのは、現に生存している人に限られます。

例えば、次の事例の場合は、どうでしょうか。
土地所有者:A単独名義(Aが死亡している場合)
建物所有者:AとBの共有名義 (Aが死亡している場合)
この場合、土地の所有名義がA一人単独名義であるので、Aについての相続登記(不動産名義変更)をしてからでないと、抵当権抹消登記をすることができません。

土地も建物も、 AとBの共有名義 (Aが死亡している) の場合は、Bが保存行為としてB一人で抵当権抹消登記ができます。

3)死亡者の単独名義の場合(相続登記をしなければ抹消登記ができない場合)

金融機関によっては、抵当権抹消登記の書類を配偶者など相続人に渡してくれる時期が、相続登記、名義変更の後でないと、この書類を渡してくれない金融機関があります。
この場合は、まず、相続登記(名義変更)を先にする必要があります。

金融機関によっては、相続登記、名義変更が完了しなくても、先に渡してくれる金融機関もあります。
この場合は、できる限り早めに、相続登記(名義変更登記)をする必要があります。
この場合、相続登記(名義変更登記)を早めにしな場合は、次のようなことになる場合があるからです。

金融機関から受領する抵当権抹消登記書類は、各金融機関によって、その書類が多少違います。
その書類のうち、例えば、抵当権解除証書と委任状があります。
抵当権解除証書と委任状には、金融機関、抵当権者の住所、名前、代表者が記載されています。
この代表者は交代することがあります。
抵当権抹消登記を申請し、完了するための条件は、この代表者が登記申請する時点で、代表権があるかどうかです。
もし、申請する時点で代表権がないのであれば、登記が完了しません。もう一度、申請し直さなければならなくなります。
登記を申請する法務局(登記所)では、申請時点での金融機関、抵当権者の代表者が、現在、代表者かどうか、代表権を持っているかどうかを確認するからです。
もし、申請時点で代表権がない人では、申請権限がないからです。

金融機関が抵当権抹消登記書類を渡す時点では、当然、これらの書類に記載された人は代表権があります。
これが、抹消登記書類を受領してから、半年、数年、抹消登記をしない場合は、この書類に記載された人が交代して、代表権がない状態となってしまう場合があるからです。
そうしますと、代表権がない人の抵当権解除証書と委任状では登記ができないことになってしまいます。
そういう意味で、金融機関から抵当権抹消登記書類を受領した場合は、早めに登記した方がよいでしょう、ということになります。
抵当権抹消登記の申請をする時点で、金融機関(保証会社)の代表者(代理人)の代表権(代理権)を喪失している場合の登記の方法は、抵当権抹消登記の必要書類を参考にしてください。

もっとも、書類に記載れた代表者の交代があったため抹消登記ができない場合、金融機関に抹消登記書類の差し替えを申し出れば、当然、差し替えてくれます。

また、抵当権抹消登記書類を受領したけれども、これを紛失してしまった場合にも、金融機関は抹消登記書類を再発行してくれます。
ただし、抹消登記書類を紛失してしまった場合、通常の抹消登記の手続きのほか、別の手続も必要となることから、通常よりも多少、登記が完了するまでの時間がかかります。
この場合、法務局(登記所)は、抵当権者に対して、申請のあった登記に間違いがないかどうかを確認するために、事前通知という方法をとることになります。

【まとめ】
①(原則)被相続人名義の不動産に抵当権が登記されている場合、この抵当権を抹消登記するには、先に、相続登記(相続人への名義変更)をします。
②(例外)被相続人と相続人(または相続人以外)の共有名義の場合、相続登記をすることなく、共有者の1人(相続人または相続人以外)から抵当権を抹消登記申請することができます。

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