住宅金融支援機構の抵当権抹消登記の方法

住宅金融支援機構の抵当権抹消登記の方法

住宅ローンを独立行政法人住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)から借り入れた場合、住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)の抵当権が設定登記されます。住宅ローンを完済しますと、住宅金融支援機構の代理店である金融機関から抵当権抹消登記書類を受け取ります。
抵当権抹消登記の基本的に必要な書類は、抵当権抹消登記の必要書類を参考にしてください。

住宅金融支援機構の書類の中で、抵当権抹消登記に必要な書類は、次のとおりです。
(1) 抵当権解除証書(←登記原因証明情報)
(2) 委任状(住宅金融支援機構)
(3) 登記識別情報通知(抵当権設定または抵当権移転)
(4) 抵当権設定契約証書(登記所には提出しません。) 

住宅金融支援機構の抵当権抹消登記書類の説明

(1)抵当権解除証書

抵当権抹消登記をするためには、抹消する根拠である「原因」を証明する必要があります。このために「登記原因証明情報」が必要となります。
「登記原因証明情報」のタイトル(表題)は、各金融機関(保証会社)により異なります。
住宅金融支援機構の場合のタイトルは「抵当権解除証書」です。

住宅金融支援機構の「抵当権解除証書」には、「空欄部分」があります。
この空欄部分は、登記を申請する方が記入します。
例えば、ご自身で登記申請される場合、ご自身で記入していただくことになります。
空欄部分は、主に次の事項です。

  • 登記名義人の氏名が記載されていません。
    抵当権を抹消する不動産の「登記名義人の氏名」を記載します。
    例えば、タイトルの抵当権解除証書の左の空白部分に「○○ ○○ 殿」と記載します。
    共有者の場合は、共有者全員の氏名を記載します。
  • その他の内容は、通常、記載されています。
    「解除原因」として「〇年〇月〇日弁済」と記載されています。
    登記申請の「原因」として、この「〇年〇月〇日弁済」を記載します。
    「不動産の表示」が記載されていない場合は記載する。
○○ ○○ 殿          抵当権解除証書
○○ ○○ 殿

〇年〇月〇日 〇〇法務局○○(支局・出張所)受付第○○○○号(順位番号〇番)をもって登記された下記の不動産に対する抵当権を解除します。

解除原因 〇年〇月〇日弁済

〇年〇月〇日
                     東京都文京区後楽一丁目4番10号
                     独立行政法人住宅金融支援機構
                     (会社法人等番号 0100-05-011502)
                     代理人 ○○ ○○ (代理人㊞)

不動産の表示

(2)委任状(住宅金融支援機構)

住宅金融支援機構が「実際に申請する人」に対して抵当権抹消登記の申請を委任するための委任状です。「実際に申請する人」が「所有者(共有者)」であれば、空欄部分に「所有者(共有者)」を記入します。
抵当権抹消登記申請を司法書士に依頼される場合、「実際に申請する人」が司法書士となりますので、空欄のままとします。この空欄部分に依頼された司法書士が記入します。

(3)登記識別情報通知(抵当権設定または抵当権移転)

登記識別情報通知の見本は、こちらを参考にしてください。
・登記識別情報通知の枚数を確認します。
 → 物件の個数分の枚数があります。
・次の事項を確認します。
 → 「不動産」「不動産番号」「登記の目的(抵当権設定または抵当権移転)」「登記名義人(独立行政法人住宅金融支援機構」

(4)抵当権設定契約証書

抵当権設定契約証書は、抵当権設定を登記したときの書類です。
この書類の最後のページに「物件の表示」が記載されています。
この「物件の表示」で抹消する不動産かどうかを確認します。
登記所には提出しません。

抵当権抹消登記書類を確認した後、次の「登記事項」の内容を確認

登記申請書を作成する前に「登記事項」を確認します。
これは、最寄りの登記所で「登記事項証明書」または、インターネット経由で「登記記録情報」を入手して(登記情報提供サービス)、その内容を確認します。

「現在の住所」と「登記されている住所」が異なる場合

登記事項の内容のうち、所有者(共有者)欄に記載されている「住所」と現在の住所が異なる場合は、「所有権登記名義人住所変更登記」を抵当権抹消登記と一緒に申請する必要があります。
この住所変更登記を一緒に申請しない場合は、登記の申請が「申請書に記載された住所と登記されている住所が相違する。」という理由で却下されます。
再度、申請をし直す必要があります。

住所変更登記と抵当権抹消登記を一緒に申請する際は、住所変更登記の申請書に「1/2」と記載し、抵当権抹消登記の申請書には「2/2」と記載して、住所変更登記→抵当権抹消登記の順番に書類を揃えて登記所に提出します。

以上のことは「現在の氏名」と「登記されている氏名」が異なる場合のも同じことが言えます。

住所変更・氏名変更については、次のページを参考にしてください。
【住所変更登記】
 住所変更登記の必要性
 住所変更登記の必要書類
 住所変更登記の手順
 住所変更登記申請書の書き方
 住所変更登記事例
【氏名変更登記】
 氏名変更登記の必要性
 氏名変更登記の必要書類
 氏名変更登記の手順

登記申請書(抵当権抹消)の書き方

登記申請をする場合、上記の必要書類を登記所に提出するだけでは足りず、「登記申請書」を作成します。

                登記申請書
登記の目的    〇番抵当権抹消(順位番号後記不動産の表示に記載のとおり)
原   因    〇年〇月〇日弁済
抹消すべき登記  〇年〇月〇日受付第○○○○号                   
権 利 者   (所有者・共有者)
        (住所)川崎市川崎区○○○○
        (氏名)川崎 太郎 ㊞ (認印)
            連絡先の電話番号 ○○ー○○ー○○
           (訂正や不足書類がある場合、法務局が連絡してくれる。
        (住所)川崎市川崎区○○○○
        (氏名)川崎 花子 ㊞ (認印)
            連絡先の電話番号 ○○ー○○ー○○
義 務 者    東京都文京区後楽一丁目4番10号
         独立行政法人住宅金融支援機構
         代理人 ○○ ○○
         会社法人等番号 0100-05-011502
添付情報
  登記原因証明情報   登記識別情報   代理権限証明情報
  会社法人等番号    
令和〇年〇月〇日申請 ○○法務局 〇〇出張所・支局 御中
登録免許税  金2,000円 (物件1個につき1,000円。上限、2万円。)                                 
不動産の表示
 不動産番号  23234566(書いても書かなくてもどちらでも問題ない。)  
 所   在  川崎市川崎区川崎〇丁目       
 地   番  ○○番○○
 地   目  ○○
 地   積  ○○・○○平方メートル
        順位番号 〇番                         
 不動産番号  12234566(書いても書かなくてもどちらでも問題ない。)
 所   在  川崎市川崎区川崎〇丁目○○番地○○   
 家屋番号   ○○番○○
 種   類  居宅  
 構   造  木造スレート葺2階建
 床 面 積  1階 ○○・○○平方メートル
        2階 ○○・○○平方メートル
        順位番号 〇番

登記申請書の記載説明

「登記の目的」には、登記されている「順位番号」を記載します。
 例えば、土地の順位番号が「1番」で、建物の順位番号が「2番」の場合は、「抵当権抹消」と記載し、その後に「(順位番号後記不動産の表示に記載のとおり)」と記載します。
「原因」は、抵当権解除証書に記載されている日付と原因を記載します。
「原因」は「〇年〇月〇日弁済」と記載します。
「抹消すべき登記」は、
 抵当権設定登記がされた日付と受付年月日を「〇年〇月〇日受付第○○○○号」と記載します。これは、登記事項で確認します。 
(押印)申請書に押印する所有者・共有者の印鑑は、認印で可、シャチハタは不可です。
「添付情報」について
・「登記原因証明情報」は、抵当権解除証書などを意味します。
 「登記識別情報」は、住宅金融支援機構の登記識別情報通知です。
・「代理権限証明情報」は、住宅金融支援機構の「委任状」を意味します。
登録免許税」は、不動産(物件)の個数1個につき1,000円。土地と建物2個であれば、2,000円。
 物件の数が20個を超えるときは、上限が2万円。
「不動産の表示」
 登記事項に記載されているとおりに記載します。
 「順位番号」
  例えば、土地の順位番号が「1番」で、建物の順位番号が「2番」の場合、それそれ、「順位番号 1番」、「順位番号 2番」と記載します。
「不動産番号」を記載するときの方法について
例えば、次のように「不動産番号のみ」を記載することもできます。
不動産の表示
 不動産番号 1234567890
 不動産番号 0987654321
 この場合、土地であれば、所在・地番・地目・地積を、建物であれば、所在・家屋番号・種類・構造・床面積を記載しないとすることもできます。
 ただし、この書き方は、敷地権付きマンションの場合、「専有部分に記載されている不動産番号」のみの記載では足りません。
 登記事項に記載されている不動産の内容すべてを記載する必要がある。(ただし、マンション名の「建物の名称」が記載されている場合、マンション全体の「構造」と「床面積」を記載する必要がない。)
 不動産番号のみを記載する方法は、不動産番号は、長い数字の羅列で間違えやすいので、もし、間違った場合、まったく別の不動産についての申請となってしまうので、登記の受付が遅れることになります。このため、当司法書士事務所では、不動産番号のみの書き方はしません。

登記申請書に必要書類を綴じる順番

上記の必要書類を登記申請書に綴じます。
申請書に綴じる順番は次のとおりです。
左綴じで2か所ホッチキスで綴じます。
申請書を綴じたら、一字一句間違いがないかどうかを確認します。
間違いがあれば、法務局の担当官から訂正を求められます。
(1)申請書(申請書が2枚以上になるときは、紙と紙の間に割印(印鑑を捺す)をします。)
(2)委任状
(3)登記原因証明情報(抵当権解除証書)のコピー(原本還付手続)

これら申請書と一緒に綴じた添付書面とは別に、次の書類を次の順番でクリップで留めます。これらの書類は返却されます。
(1)登記原因証明情報(抵当権解除証書)
(2)「登記識別情報通知」は、「登記識別情報通知のコピー(シールを剥がしてコピーします。)」
   コピーしたものを「封筒」に入れて提出します。原本は提出しません。

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